学生時代に光触媒(その当時は光半導体と言っていたが・・・)の研究室にいた私としては
塗料(競合会社を刺激しないため金属インキと言っていたが・・・)会社のサラリーマンとなって
その貴重な酸化チタンが日々何百tザックザクと白色顔料に浪費されていた事実を知って愕然としました。
しかも、顔料として耐候性を向上させるために一所懸命その光触媒反応を殺す努力をしていたんですねぇ。
実際、写真のように光触媒酸化チタン(左)と顔料酸化チタン(右)の見かけの差は全くありませんが、
信じられないことに超精密な分析機器を駆使しても両者を区別することは殆んど不可能なんです。
まあ、ルチルとアナターゼの区別をするのが関の山ですね。
ところで、「白く見える」って光学的に表現すると「光が全・乱反射している」となります。
何らかの光の波長成分を吸収しているわけではなく、すべて反射しているので白く見えるんですね。
屈折率の違う二つの物質の境界面では屈折と反射が起こるのですが、
この屈折率の差が大きいほど全反射する光の量が増えてくるのです。
これはスネルの法則として数式化されていますので
ご興味の方は(あんまりいないと思いますけど・・)詳細をWikipedia等で調べてください。
例えば写真のようにガラスは通常、板状ですから透明ですが(左)それを細かい粉にすると白く見えます(右)。
これは、粉にすることで空気とガラスの境界面が増えて、
その屈折率の差(空気=1.0、工学ガラス=1.5)がそこそこあるので乱反射を起こして白く見えるんですね??
もし、このガラス粉を油の中に浸漬したら透明になってしまうはずです。(油=1.5でガラスと同じですからね)
酸化チタン(=2.7)はあらゆる透明材料の中で最も高い屈折率を示すため「白色顔料」としては最も優秀な鉱物だったんですね。
ダイヤモンド(=2.4)よりも高いんです!!
チタニアを111面カットするとダイヤモンドより輝きは見事なはずですよ。
要するに他を凌駕する非常に高い屈折率のゆえに(紫外線や赤外線を含む)光を一番よく反射する顔料だということがいえます。
脱線しますが
・・・となると某遮熱塗料の謳い文句にある
「酸化チタンを超える反射率を示す中空バルーン顔料♪」
という表記が気になります。
どんな顔料なのか??私は個人的には不可能なことだと思っています・・(つづく)
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